ウーバーイーツ配達員の仕事の将来性は?これからの未来も稼げるのか?

この記事の執筆者 南研吾
この記事の執筆者 南研吾

ウーバーイーツの配達員(ドライバーとも呼びますね)の仕事が将来どうなるかについて予測した記事を書きました。ウーバーイーツの配達員をしている方やこれから配達員になることを考えている方はぜひ読んでください。

「UberEats(ウーバーイーツ)」
のカゴをつけた自転車をよく見かけるようになりました。
彼ら(彼女たち)は、ウーバーイーツ(正確にはUber Japan株式会社)から仕事を委託されている配達員です。
もしかしたら、配達員の方もこの記事を読んでくれているかもしれません。

配達員をよく見かけるということは、ウーバーイーツで注文するひとが増えた、ということです。
じっさい、ウーバーイーツは日本で順調に業績を伸ばしています[1]グラフで決算:Uber Japan 売上高と業績推移のグラフで財務諸表の内訳を比較分析 2018 ウーバージャパン

ウーバーイーツを運営する
「Uber(ウーバー)」
にとって、配達員は無くてはならない存在です。
仕事のパートナーとなる配達員がいなかったら、いまのウーバーイーツのビジネスは成立しません。

いまのUberEatsは配達員がいないと成立しない

社会の物流をになうという意味でも、配達員はたいせつな仕事です。
しかし、ウーバーイーツの配達員にはこれから
「(AIをふくめた)機械との競争[2]この表現はエリク・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーによる著作「機械との競争」から使わせてもらいました。
が待っている可能性が高いです。

そんなウーバーイーツの配達員の仕事は、将来どうなるのでしょうか?
これからも配達員としてお金を稼ぐことはできるのでしょうか。
これを、未来の複数のシナリオをつくりながら考えます。

UberEatsの配達員は将来どうなる?

ウーバーイーツの運営会社はどんな会社?

ウーバーイーツの配達員が将来どうなるかを考えるためには、ウーバーイーツのサービス、さらにはウーバーイーツの運営会社であるUberについて知らなくてはいけません。
まずはじめにUberのサービス内容、業績をかんたんに説明します。
「Uberはどんなサービスを提供する会社なのか?」
これを知っておきましょう。

Uberは「最新技術をヒト・モノの移動に活用する会社」

Uberは2009年3月にアメリカで作られた会社です。
運営サービスには

などがあります。

南研吾
南研吾

Uberが運営するサービスは他にもたくさんありますが、日本で使えるサービスはかなり少ないです。

それぞれのサービスについての説明はあまり重要ではありません。
なのでくわしく説明しません。
知っておいて欲しいのはUber(ウーバーイーツもふくむ)が、会社としてどんなサービスを利用者に提供しているか、です。
Uberは、ひとことで言えば
「ヒト・モノの移動手段」
をサービスを利用する人に提供する会社です。

ウーバーイーツを例にしましょう。
ウーバーイーツは

  • レストラン
  • 食事を注文した人

この両方にたいして
「食事(モノ)をレストランから注文した人のもとに移動させる手段」
を提供していますよね。

「食事を移動させる手段」を提供している

Uberは、ただ移動手段を提供するだけではありません。
移動手段を提供するだけでは、ふつうの物流の会社となってしまいます。
UberはAI(人工知能)やビッグデータ分析などの最新テクノロジーをフル活用します。
つまり
「最新技術をヒト・モノの移動に活用する会社」
がUberなのです。

Uberはよく
「シェアリングエコノミー」
の会社として取り上げられます。
たしかに、いまのウーバーイーツは(配達員の)労働力をシェアするサービスと考えられます。
それでも、テクノロジーの会社とした見たほうがUberをより正しく理解できます。
この記事を読み進めれば、その理由もわかります。

赤字だけど会社の評価はとても高い

つぎは、Uberの業績や会社としての評価についてです。

Uberの歴史は浅いです。
それでも2019年には株式をニューヨーク証券取引所に上場しており、投資家など専門家からは高く評価されています。
孫正義さんが経営するソフトバンクも投資用の子会社を通じてUberに出資しています。
日本企業ではあのトヨタも出資しています。
ほかにも、世界中の有名企業がUberに出資しています。
それくらい世界的に評価が高い会社なのです。

世界的大企業がUberに投資している

高い評価は会社の値段とも言える「時価総額」でも確認できます。
2020年11月時点で、Uberの時価総額は9兆円を超えています(約942億ドル)。
日本の有名企業と時価総額で比較するなら、ユニクロのファーストリテイリングや任天堂などと近い評価を得ています。

極めて高く評価されているにもかかわらず、Uberは赤字です。
最新の決算でも大きな赤字を出しています。[3]REUTERS:米ウーバーの第3四半期は予想以上の赤字、売上高も予想下回る

ふつう、赤字は会社としては良くないことです。
赤字の会社に投資したい、と思う人はすくないはずです。
けれどUberには9兆円の価値があります。
不思議だと思いませんか?

これには理由があります。
Uber(とUberの株)は将来とても高い価値をもつ、とみんなが思っているのです。
なぜみんながそう思っているのでしょうか?

答えは
「移動の自動化の実現」
への期待感です。
「移動の自動化」とは具体的には

  • AIを活用した車の自動運転
  • ドローンをつかった、配達・宅配などの自動化

などですね。

Uberは「ヒト・モノの移動の自動化を実現する」とみんなに期待されています。
ヒト・モノの流れがAIやロボットによって自動化された世界は、SFアニメやドラえもんのような世界で、とても魅力的です。
投資家なども、自動化に魅力を感じてUberに投資をしています。
つまり「移動の自動化」にはとても高い価値がある、と考えられているのです。

Uberは「ヒト・モノの移動の自動化」に挑み続ける

Uberがどんな会社かを簡単に説明しました。
ここからは、これからUberがどんな方向に進みそうかを説明します。
ただ、すでに大きな方向性は決まっています。
すでに説明したように
「ヒト・モノの移動の自動化」ですね。

車の自動運転やドローンによる配達は数年前から実験中

Uberが移動の自動化に取り組むのは、未来の話ではありません。
すでに

などのような実証実験を繰り返しています。

Uber AIR: Our Vision | Uber Elevate | Uber

ただ実験しているだけではありません。
自動化を実現するために膨大な量のデータを収集したり、優れたAIを開発したりもしています。

とうぜん、このような実験や技術の開発にはたくさんのお金がかかります。
けれどUberは赤字です。
いまのところUberは赤字なので、事業をつづけてもお金は増えません。
ではどうやって自動運転技術等を開発するための資金を集めているのでしょうか。

南研吾
南研吾

補足しておくと、ウーバーの日本での事業は黒字です。2019年の営業利益は約3億3,600万円と発表されています。

高い評価をつかってお金を集める

会社がお金を集めるとき、キーになるのは「会社への評価」です。
これは、個人がお金を集めるときでも同じですね。

将来大物になるだろうとみんなに思われてる人なら、友達や知り合いからお金を借りれます。
ちかい将来しっかりお金を稼ぎ、貸した金額よりも増やして返済するだろう、とみんなが思うからです。
見込みがないと思われている人は、お金を借りることは難しいです。
この点、Uberはとても高く評価されています。
だから、いろいろな方法でお金を集めることができます。

そして、集めたお金で世界中の優れた人を雇用して

  • 人工知能やプログラムを開発
  • 自動運転の実証実験
  • ビッグデータの収集・分析

などを繰り返し、自動化実現に向かって進んでいます。

Uberは高く評価され続けないと会社がまわらない

移動の自動化を実現するためには、お金がかかります。
お金を集めるために、Uberは高く評価され続けなければなりません。

Uberについて考えるとき
「評価」
がポイントになります。
数字でも形でもない、まわりからの「評価」がなくなった時点で、Uberはただの赤字の会社になります。
普通の会社になったら、優秀な人材を集めることができませんし、お金を集めにくくなります。

お金と人が集まらなくなったら、Uberは事業をまわすことができなくなります。
だから、Uberは社会を変えるような事業に取り組み続ける必要があるのです。

そして、いまは
「ヒト・モノの移動の自動化」
を目標として事業をしています。

ウーバーイーツの配達員の未来はどうなる?

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
ウーバーイーツの配達員の未来はどうなるのでしょうか。

ここまで読んでくれた方は気づくと思いますが、記事のなかにウーバーイーツの配達員の話はほとんど出てきませんでした。
それもそのはずで、Uberが目指すのは
「ヒト・モノの移動の自動化」
です。
自動化が実現した世界ではモノやヒトの移動に人間、つまり配達員・ドライバーが活動する場面はへります。

Uberは自動化された世界の実現を目指す

ということは、ウーバーイーツの配達員という仕事・職業は近い将来消えて無くなるのでしょうか?

これからウーバーイーツの配達員に起きるであろう出来事を

  • 良い出来事
  • 悪い出来事

のシナリオにわけて、いくつか予測します。

全体としては配達員が
「機械(AIや自動運転車・ドローン)との競争」
に勝つか負けるか、これが仕事がなくなるか生き残るかの焦点となります。

未来に起きそうな良いシナリオ

まずはウーバーイーツの配達員に起きそうな、よい未来のシナリオを挙げます。
ここで紹介する出来事がおきれば、すくなくとも一時的にはハッピーな気持ちになるはずです。

ウーバーイーツの業績やデリバリー市場が拡大し収入が増える

エヌピーディー・ジャパン株式会社の発表によると、2020年のデリバリー市場は6,030億円となる見込みです。[6]エヌピーディー・ジャパン株式会社:2020 年 1-12 月計の出前市場規模は 6000 億円超の見込み
2015年の3,564億円から、毎年順調に市場が拡大しています。
とくに2019年から2020年にかけては新型コロナの影響で1.5倍近く市場規模が増えています。

出前市場は年々拡大している

市場が伸びているということは、日本のデリバリー市場のなかでシェアが高いとされる

  • ウーバーイーツ
  • 出前館

などの売上げも上がっている可能性が高いです。
日本のUberEatsの売上げは公開されていませんが[7]世界全体の売り上げは公開されており順調に伸びています。、出前館の売上げは順調にふえています[8]出前館:2021年8月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

このままデリバリー市場やウーバーイーツの業績がのびれば、配達員の仕事もふえます。
もし配達依頼数にたいして配達員の数が少ないなら、UberEatsは配達員を増やす必要があります。
だから、配達員への報酬を増やすでしょう。
もし

  • 配達の回数
  • 配達のたびに支払われる報酬

が増えれば、配達員の収入はかなり増えるはずです。

全体の配達数が増えれば配達員の報酬も増える

かなり良い未来のように感じますが、注意したいの需給バランスです。
この場合は

  • ウーバーイーツへの注文数(需要)
  • 配達員の数(供給)

のバランスです。
配達員の収入が増えれば
「ウーバーイーツの配達員は儲かる」
という話がひろがり、配達員をはじめるひとが増えてます。
そうなったら配達回数が分散されます。
さらに、配達員がどんどん集まるので、UberEatsが配達員に高い報酬をはらう必要がなくなります。

需給バランスが報酬に影響を与える

なので、たかい収入を維持できるかは需給バランス次第といった部分もあります。
このあたりはYouTuberとかと同じですね。
基本的には、儲かる場所にはたくさんの人が集まるのです。
そして、少しづつ儲けにくくなります。

配達員が増えノウハウ公開などでお金が入るようになる

つぎは、ウーバーイーツの需要がとても増えたことを前提にしたシナリオです。

もしウーバーイーツの配達員が大人気の職業になれば、配達員としてお金を稼ぐノウハウを欲しがる人が増えます。
こうなったら

  • YouTuber
  • オンラインサロン
  • ブログ
  • note

などで自分のノウハウを公開し、そこからお金を稼げるようになるはずです。

ただこれらでお金を稼げるのは、ウーバーイーツの配達員として抜きんでた実績を出した人のみです。

配達員が正社員になり社会保険などの福利厚生が良くなる

ウーバーイーツの配達員の立場は正社員でもなければ、契約社員でもありません。
アルバイトでもありません。
配達員はUberから仕事をもらっている個人事業主です。
業務(仕事)を託されているので「業務委託」ともよばれます。
「自営業」などとも呼ばれますね。

つまり、Uberと配達員は対等な取引先なのです。
配達員はUberに雇用されている従業員ではありません。

Uberと配達員は対等に取引する関係

けれど、実態はちがうと主張するひとが世界中にたくさんいます。
彼ら彼女たちは、Uberは配達員やドライバーを雇用しているのに近い、と語っています。
配達員やドライバーは
「Uberのために働いている従業員ではないか?」
ということですね。

労働者にはさまざまな権利があります。
取引先である個人事業主にはそれがありません。
日本では
ウーバーイーツユニオン | UberEatsUnion
という団体が労働組合をつくり、配達員の労働環境が良くなるようにUberと交渉を続けています。

Uberはこのような労働環境についてのトラブルを世界中で抱えています。
なかには裁判に発展しているものもあります。
しかし、Uberは一貫して
「ドライバーや配達員は従業員ではない」
と主張しています。

日本でこれからUberがどのような対応をするかはわかりません。
けれど、もし裁判などがおきて
「Uberのドライバーや配達員は従業員である」
と認められたら、UberEatsの配達員の従業員として扱わなくてはなりません[9]techcrunch:「Uberドライバーはフランスでは従業員」と仏最高裁判所が裁定

もし配達員がUberの従業員になれば

  • 安定した給料
  • 日本の法律にもとづいた福利厚生(最低賃金・社会保障・労災等)

などが配達員に与えられます。

このような未来を期待しない配達員もいると思いますが、安定して働きたい配達員にとっては嬉しい未来のはずです。

未来に起きそうな悪いシナリオ

はじめにウーバーイーツの配達員にこれから訪れるかもしれない、未来の良いシナリオをあげました。
つぎは、悪いシナリオを紹介します。
ここまでの流れで想像がつくと思いますが、悪いシナリオのほうが多いです。

Uberが自動化をすすめて配達員の仕事がなくなる

やはりシナリオとして考えないといけないのは、Uberが配達員の自動化をすすめて
「ウーバーイーツの配達員」
という職業がなくなるリスクです。

人が機械によって仕事が奪われる未来ですね。

人と機械が交換される可能性がある

説明したように、Uberはヒト・モノの移動の自動化を目標とする会社です。
自動化が実現したら、人(配達員)はいらなくなります。
この場合、自動で動くドローンや自動車がデリバリーの大半をにないます。

とはいえ

  • 交通上の問題
  • 法律的な問題
  • 社会的な問題

など、自動化を実現するためにはクリアしなければならない物事がとても多いです。
じっさいUberによって移動の自動化が実現するかどうかはわかりません。
実現できない可能性もあります。
アメリカでは実現したけど、日本では法律的にNG、ということもありえます。
ただ自動宅配の技術・テクノロジーがあればOKという世界ではないのです。

個人的には、一部の地域ではドローンなどによって自動で宅配し、ほかの地域ではこれまで通り人間の配達員が宅配するのが現実的ではないかと思います。
つまり、機械と人が共存する未来ですね。

「ウーバーイーツの配達員」という仕事が将来なくなるかどうか、確実な事は誰にもわかりません。
それでもこのようなリスクがあることは

  • 専業で配達員をしている人
  • 専業の配達員になりたい人

は知っておいた方が良いと思います。

報酬が何度も引き下げられて収入が下がる

Uberは自分たちの意思で取引先であるウーバーイーツの配達員の報酬を決められます。
ということは、達員の報酬はUberの考え方ひとつで変わるということです。
じっさい、2019年には報酬の引き下げがありました[10]日経新聞:ウーバーイーツの労働組合、報酬下げの説明要求

Uberが決めた報酬額は、配達員には変えられません。
不満があれば、配達員をやめるくらいしかできません。
配達員はUberの従業員ではなく、いち取引先なので不満があれば取り引きしなければいいのです。
報酬を下げたことにより、取引先が減ってこまるのはUberです。

それでも、配達員にもいろいろな事情があります。
報酬が減ったからといって
「では辞めます」
という訳にはいかないでしょう。
とくに、配達員を専業でしている人にとって、引き下げは収入減につながるのでとてもつらいです。

これからも、おなじような報酬引き下げが起きる確率はたかいです。
Uberはライドシェアサービスでも似たような報酬引き下げをこれまで数回おこなっています[11]Forbes Japan:ウーバーはドライバーの搾取をやめろ、報酬削減で抗議デモ
Uberにとって。報酬引き下げは珍しいことではないのです。

日本のUber(Uber Japan株式会社)の2019年12月期の決算は黒字です。
ですが、そこまでぼろ儲けしている訳ではありません[12]官報ブログ:Uber日本法人「Uber Japan」決算公告(第7期)
毎年の利益剰余金(事業の結果として残ったお金)を見てみましょう。

ウーバージャパンの営業利益の推移

かなり儲かってはいますが、思ったよりも少ないなあと思った人は多いはずです。
2016年は赤字だったのですね。

世界全体で見るとUberは赤字ですし、UberEats事業だけで見ても赤字です[13]Uber:Uber Technologies, Inc. Q4 2019 Earnings
このような状態(赤字)では、気前よく配達員の報酬を上げられません。

そもそもですが、ウーバーイーツはUberにとって今のところ利益を生みやすいサービスではないのです[14]ライドシェアと比べると配達員が必要なぶん利益が減る
だから、これからも報酬引き下げが実行される確率は高いはずです。

トラブルを起こしたらAIが配達員をクビにする

繰り返しになりますが、Uberとウーバーイーツの配達員は取引関係です。
だから、どちらかが相手をもういらないと判断すれば取引をやめられます。

Uberは事業においてビッグデータを活用します。
ビッグデータを分析するAIも開発しています。
将来的には、AIがドライバーを判定するということもありえます。

そうなったら、AIがビッグデータをつかって配達員を分析し、もういらないと判断すれば、その配達員をすぐにクビ(正確には取引をやめる)にするということも起こるでしょう。
とくに、お客さんとトラブルを起こしたりする人はAIに
「不要」
と判断されやすいはずです。

もしUberと配達員の関係が「取引関係」ではなく
「Uberの従業員(正社員やアルバイト)」
になれば日本では法律によって守られ、AIだろうと簡単に人をクビにできません。
しかし、現実的にはウーバーイーツの配達員がUberの従業員になれる可能性はとても低いです。

Uberは
「移動の自動化」
を目標とする会社で、そのために多額の投資をしています。
このせいもあり、事業は赤字続きです。
このような状態でウーバーイーツの配達員を従業員にしたら、赤字がものすごい勢いで拡大します。

ウーバーイーツではありませんが、ライドシェアサービス「Uber」のドライバーをUberが正社員として雇用したら、ひとりあたり約40万円のコストが増えるという試算があります[15]wired:Uberのドライヴァーは「従業員」、カリフォルニア州での法案通過が波紋
いちがいには言えませんが、この数字をウーバーイーツに当てこんでみましょう。
40万円は
「アメリカのライドシェアのドライバー」
場合ですので、あくまでも参考程度にしてください。

日経新聞の報道によると、日本のUberEatsの配達員の数は約15,000人です[16]日経新聞:Uber Eats、配達員のケガを民間保険で補償
この数字に一人あたり年間40万円をかけてみます。
15,000×400,000
は「60億円」です。

さきほど図でも紹介しましたが、最新のUber Japan株式会社の決算では、1年間の事業の稼ぎとして増えたお金は
3億3,659万円です。
この数字に60億円の費用をマイナスしたら、約56億円の赤字です。
これでは事業は成立しません。

1万人以上の配達員を正社員にするお金はない

正確な数字はわかりませんが、ウーバーイーツの配達員を正社員やアルバイトにしたらこれまでよりも費用が増えるでしょう。
おそらく、日本法人もかなりの赤字になります。
人を雇うのは、たくさんの費用がかかるのです。
配達員がUberの正社員やアルバイトになれる可能性はとても低いはずです。

ウーバーイーツが日本からサービス撤退する

ウーバーイーツは2020年に

  • 韓国
  • インド

などの国で事業売却等をおこない、宅配デリバリーサービスを撤退しています[17]IG:ウーバー、来年は利益出せるビジネスモデル実現の可能性―調査

Uberは日本では黒字ですが、これから競合となる企業がどんどん増えます。
日本の宅配市場をねらい、ウーバーイーツと同じようなビジネスモデルの

などが2020年にサービスをはじめています。

南研吾
南研吾

PayPayダッシュは2020年にサービスを開始し、2020年の8月にサービスを終了しています。競争がかなり激しいことがわかりますね。

この2つはどちらも資金が豊富な会社によって運営されています[18]PayPayダッシュはヤフーが運営していて、DiDi Foodは中国の「滴滴出行」が運営。
きっと

  • 注文する人
  • デリバリー配達員

を集めるために大規模なキャンペーンをおこなうでしょう。

こうなると、ウーバーイーツのシェアが一時的とはいえ減り、配達員の仕事も減るはずです。
もし業績がおおきく下がるようであれば、事業売却などによって日本から撤退する可能性だってありえます。

ウーバーイーツのような宅配デリバリーはサービスの差別化が難しいです。
これから世界でシェアを持っている他の企業、たとえば

  • インドのOla(オラ)
  • インドのZomato
  • アメリカのDoorDash

なども日本市場に参入するかもしれません。
日本の宅配市場のシェアを奪ったようにみえるUberも、うかうかしていられないのです。

UberEatsの競合サービスはどんどん増加

ちなみに、ここまであがった

  • Uber
  • DiDi
  • Ola
  • DoorDash

などは、すべてソフトバンクやソフトバンクグループの投資ファンドが株主に名を連ねています。
さらに

  • 出前館
  • LINEデリマ

などのデリバリーサービスにもソフトバンクは子会社などを通じて絡んでいます。

配達員どうしの競争が激しくなり稼げなくなる

ここまでは、Uberと配達員との間で起きそうなシナリオでした。
次は、Uberと配達員との関係ではなく配達員同士で起きることです。

いまのところ、ウーバーイーツの配達員になるのに厳しい条件はありません。
18歳以上であればほぼ誰でも配達員になれます。

だから、もしウーバーイーツの配達員が
「稼げる仕事」

「カッコいい仕事」
と世間に認められたら、配達員の数はふえます。

そもそも
「好きな時間に、自由に働ける」
という仕事は、日本人にとって魅力的です。

だからすでに1万人以上が配達員になっているのです。

さらに

  • 稼げる
  • カッコいい

などの要素が加わったら配達員になりたい人が激増するでしょう。

配達員が需要(注文数)の増加よりも高い割合で増えた場合、ひとつの注文をたくさんの配達員が奪い合うことになります。
こうなると

  • 体力がある人
  • 独身で時間がある人
  • 最新の自転車などのツールを持つ人
  • 独自のノウハウを持つ人

などが有利になります。

よって、需給バランスが悪くなり配達員どうしの競争が激しくなれば
「誰でも稼げる」
という仕事ではなくなります。

これも、YouTuberなどと同じですね。

配達員が増えれば注文を奪い合うことになる

悪いシナリオがきてもリスクは減らせる

ここまであげた良いシナリオと悪いシナリオを整理しましょう。
まずは良いシナリオです。

  • ウーバーイーツの業績やデリバリー市場が拡大し収入が増える
  • 配達員の数が増えて、ノウハウ公開などでお金が入るようになる
  • 配達員が正社員になり社会保険などの福利厚生が良くなる

次は悪いシナリオです。

  • ウーバーイーツの配達員どうしの競争が激しくなり稼げなくなる
  • ウーバーイーツが日本からサービス撤退する
  • すこしでもトラブルを起こしたらAIが配達員をクビにする
  • 報酬が何度も引き下げられて収入が下がる
  • Uberが自動化をすすめて配達員の仕事がなくなる

もし、良いシナリオが来たらまずは安心です。

しばらくは配達員を続けて収入を得ることはできそうです(ずっとではありません)。
しかし、悪いシナリオが来たらどうしたら良いでしょうか。

ウーバーイーツの配達員は

  • 自由に好きな時に働ける
  • 平均的な時給よりも稼げることがある
  • 人とのコミュニケーションが少ない
  • 一国一城の主になれ、自分の意思で働ける

という、魅力的な仕事です。
しかし、ここまで説明したように色々なリスクがあります。
だからリスクを減らしながら働くのがおすすめです。

リスクを減らすための方法を、いくつか紹介します。

専業ではなく副業としてバイト的にはたらく

専業でウーバーイーツの配達員になるということは、じつは独立・起業するのと同じことです。
組織ではなく自分の力をたよって生活していくのは素晴らしいことです。
しかし、独立にはリスクをともないます。
リスクがあるのに、ウーバーイーツの配達員にはリターンとなる報酬がすくないです。

だから、専業ではなくあくまでも副業として働くのがリスクを避ける意味でおすすめです。
そして、このあと紹介する
「稼ぎやすいときだけ配達員としてはたらく」
にある内容を実践すると効率よく稼げるので、ローリスク・ミドルリターンとなります。

稼ぎやすいときだけ配達員としてはたらく

UberEatsで稼ぎやすいときだけを選び、配達員をする方法もおすすめです。

配達員にとって
「稼ぎやすいとき」
とは

  • 需要:ウーバーイーツへの注文数
  • 供給:配達員の数

のバランスが崩れているときのことです。

たとえば、年末年始ですね。
年末年始は、みんな地元にかえってゆっくりします。
このようなタイミングは配達員の数が減っているのでチャンスです。

年末年始だからといって、自宅からウーバーイーツで注文をする人が激減する訳ではありません。
年末年始は、配達員の数が減っているのに注文数が減らないのでチャンスなのです。

他にも、コロナウィルスなどの影響で外出・外食する人が減っているときもチャンスです。
この場合は注文数が増えるので、需要増となり配達員は稼ぎやすくなります。

副業で、稼げるときだけウーバーイーツのドライバーをやるのは、リスクがないだけでなく稼ぎやすいのでおすすめです。

ウーバーイーツ以外の他の宅配サービスの配達員もする

説明したように、ウーバーイーツみたいなサービスが日本でどんどん増えています。
ウーバーイーツの配達員数は別にUberの社員ではないので、堂々と複数のサービスに登録して働けます。

ひとつのサービスだけで生活していくと、そのサービスに依存してしまい、とてもリスクが高いです。
なので、できれば複数の宅配サービスで配達員として登録し、リスクを分散させるのがおすすめです。

具体的には、複数の宅配サービスで働けば

  • 注文数が増える可能性がある
  • キャンペーンで報酬が多いサービスを選んで働ける
  • ひとつのサービスが閉鎖・撤退してもリスクがすくない

などのメリットもあります。
デメリットはほとんどないので、複数のサービスへの登録はかなりおすすめです。

ドライバーの募集はそれぞれのサービスで行われています。
各サービスのドライバー募集ページのリンクをはっておきます。

その時その時の条件が良いサービスを使う

Uberに投資する側になる

UberEatsの配達員にとって最大のリスクはUberが移動の自動化に成功し、人がいらなくなったときです。
このとき、ウーバーイーツの配達員の仕事はなくなります。

この場合、配達員の仕事は無くなりますが、Uberの株価はおそらく上がります。
世界中のヒト・モノの移動をUberが管理し、世界最大の物流企業になるからです。
それに、配達員に支払っていた報酬がなくなるので、利益も出しやすくなります。

ということは、配達員として働きながUberに投資したら

  • Uberが移動の自動化に成功=持っているUber株価が上がる
  • Uberが移動の自動化に失敗=配達員としての仕事が安定する

このようになる可能性が出てきます。
だから、Uberの株を購入することがリスクをさける方法になるのです。

Uberの株はSBI証券などで口座開設すれば、簡単に購入することができます。

ただ、最悪のシナリオとしてUberが自動化に失敗し、会社が倒産することもありえます。
この場合は株は無価値(0円)になりますし、配達員は仕事がなくなります。

良いシナリオがきても将来は厳しくなる恐れがある

ふたたび、良いシナリオを整理します。

  • ウーバーイーツの業績やデリバリー市場が拡大し収入が増える
  • 配達員の数が増えて、ノウハウ公開などでお金が入るようになる
  • 配達員が正社員になり社会保険などの福利厚生が良くなる

これですね。

もし良いシナリオが実現したら、まずは安心です。
けれど、良いシナリオが来たとしても、配達員の仕事は無くなるかもしれません。
理由を説明します。

まず1つ目の
「ウーバーイーツの業績やデリバリー市場が拡大し収入が増える」
です。
このようなシナリオになったら、一時的に配達員の仕事が増えます。
しかし、注文数がどんどん増えたら人が足りなくなり、配達員に支払う報酬も上がりやすくなってしまいます。

もし

  • 人間の配達員
  • ロボットの配達員(ドローン・自動運転車)

を比較して、圧倒的にロボットの方が安い、ということになったら人の仕事が徐々にロボットに換えられます。
これは、どんな業界でも起こりうることです。
自動化したほうがコスト(費用)が下がるなら、普通の会社は自動化をえらびます。
自動の実現をめざしているUberなら尚更です。

「配達員が正社員になり社会保険などの福利厚生が良くなる」
というシナリオがきても、厳しい未来が待ってます。

そもそも、Uberの事業は業務を委託する

  • 配達員
  • ドライバー

を正社員と雇うことを前提としていません。
だから事業をここまで拡大できたのです。

もし配達員を正社員化したら、とんでもない金額の人件費が増えます。
いくら将来有望とされる企業でも耐えられないくらいの赤字が出るでしょう。
そうなると、Uberといえど破綻、つまり倒産します。
倒産したら、正社員といえども勤務先がなくなります。
もし正社員になれても、その先に待ってるのは失業ということですね。

このように、良いシナリオがきても、結局はバッドエンドになってしまう確率が高いのです。
だから

  • 悪いシナリオ
  • 良いシナリオ

のどちらが来ても、配達員の仕事はかなり厳しくなります。

配達員は専業ではなく副業のほうが安全

ここまでウーバーイーツの配達員の将来がどうなるかを

  • 良いシナリオ
  • 悪いシナリオ

にわけて説明してきました。

ウーバーイーツの配達員の仕事は魅力的ですが、リスクがあることをわかってもらえたと思います。

ただ、いまの時代は安定した仕事はありません。
どんな仕事でも配達員とおなじで、AIやロボットによる自動化の影響はうけます。

むかしは、人の移動手段は馬車でした。
それが、車の発明によって人の移動手段が
馬車から車に変化したのです。
このような変化は、どんな仕事でも起きうることです。

だから、リスクに対しての対策をとることが大事です。
ウーバーイーツの配達員の配達員の場合は、専業ではなく副業としてほどほどに取り組むことがリスク対策になります。
これなら、配達員の仕事がなくなっても痛手は負いません。

そして、もし配達員として働くなら

  • どの場所(地域)なら稼げるか
  • どんな時期なら稼ぎやすか

など、稼ぐための嗅覚(きゅうかく)を養うことをおすすめします。
嗅覚のような感覚は、どんな仕事でも役に立ちますし、転職するときなどに堂々とアピールできる能力だからです。
ただ配達員として働くだけでなく、嗅覚を使いながら稼げる能力があれば、きっとほかの仕事でも稼げるでしょう。

引用・脚注

1 グラフで決算:Uber Japan 売上高と業績推移のグラフで財務諸表の内訳を比較分析 2018 ウーバージャパン
2 この表現はエリク・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーによる著作「機械との競争」から使わせてもらいました。
3 REUTERS:米ウーバーの第3四半期は予想以上の赤字、売上高も予想下回る
4 自動運転ラボ:米ウーバー、マックのハンバーガー配達にドローン使う実証実験 ラストワンマイルで新たな取り組み
5 wired:Uberの自律走行車による死亡事故から1年、自動運転は静かに進化し続ける
6 エヌピーディー・ジャパン株式会社:2020 年 1-12 月計の出前市場規模は 6000 億円超の見込み
7 世界全体の売り上げは公開されており順調に伸びています。
8 出前館:2021年8月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
9 techcrunch:「Uberドライバーはフランスでは従業員」と仏最高裁判所が裁定
10 日経新聞:ウーバーイーツの労働組合、報酬下げの説明要求
11 Forbes Japan:ウーバーはドライバーの搾取をやめろ、報酬削減で抗議デモ
12 官報ブログ:Uber日本法人「Uber Japan」決算公告(第7期)
13 Uber:Uber Technologies, Inc. Q4 2019 Earnings
14 ライドシェアと比べると配達員が必要なぶん利益が減る
15 wired:Uberのドライヴァーは「従業員」、カリフォルニア州での法案通過が波紋
16 日経新聞:Uber Eats、配達員のケガを民間保険で補償
17 IG:ウーバー、来年は利益出せるビジネスモデル実現の可能性―調査
18 PayPayダッシュはヤフーが運営していて、DiDi Foodは中国の「滴滴出行」が運営。

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